国際的視野と幅広い問題意識を持ち多様な分野で活躍する獣医師を育成
多くの方が「病気の動物を治療するのが獣医学」というイメージを持っているのではないでしょうか。しかし,獣医学とは生物学を基本とする動物医療学です。つまり,動物の疾病の診断と予防技術,家畜改良技術と動物生産の効率化,国民の食生活や食品の消費拡大等,人間が生活する上で関わるさまざまな環境要因と健康増進との関係を追究する幅広い学問なのです。 特に最近は,地球規模で拡大している環境問題や人獣共通感染症をはじめとした公衆衛生分野(防疫)に貢献できる獣医師の養成が求められています。共同獣医学課程では,国際的視野と幅広い問題知識を持ち,確かな知識と豊かな経験に裏打ちされた行動力のある獣医師を育成するために,北海道大学との共同による総合的な動物医科学教育を行っています。また,獣医学教育の国際認証の取得及び国際水準の獣医学教育の実施に関する業務を推進する「獣医学教育国際認証推進室」を設置し,獣医学教育を国際水準まで引き上げ,国際的・社会的に活躍する獣医師を育成することで,日本の獣医学教育改革を先導することをめざしています。
国際水準の獣医学教育を実践
獣医学教育のEU(欧州)基準認証取得に向けて,産業動物臨床棟,産業動物飼育棟が平成27年9月に完成。動物・食品検査診断センター,病態診断棟との接続により,臨床から病理検査までが一連の流れとして可能となり,安全で効率的な診療・実習環境を構築しています。 また,平成30年には遠隔地での迅速な高度診療をめざした画像診断と特殊診断の機能を搭載する2台の診断車を導入しました。農学・獣医学等の分野で世界トップの水準を誇る米国コーネル大学及びウィスコンシン大学と結んだ学術協定により,国際的水準の獣医学教育の促進を図っています。
学びの特色
本学の獣医学教育は,北海道大学獣医学部との「共同獣医学課程」として,両大学がそれぞれ有する優れた教育資源を結集し,ひとつのカリキュラムで教育を実施しています。北海道大学の教員が本学で授業を行ったり,学生が移動して合同演習や実習を行うこともあります。
また,ITを用いた双方向遠隔授業も行っています。卒業者には両大学学長連名の学位記が授与されます。本課程ではこれまで日本の獣医学教育ではグローバルな視点から不十分とされてきた産業動物臨床教育,先端的伴侶動物臨床教育,公衆衛生教育を強化。
さらに基礎生命科学を中心とした基礎獣医学教育,野生動物学,国際基準の実験動物に関する教育も充実させ,国際化が進む社会に貢献できる獣医師育成をめざしています。
主な進路
・大動物専門獣医師
・伴侶動物中心の獣医師
・家畜防疫員・食肉衛生検査員
・ワクチン等の医薬品製造業
・厚生労働省,農林水産省,農業団体
・JICAやNGO等の職員
・大学院へ進みさらに研究を重ねる